2013年4月22日月曜日

ツケ

「現金仕入のため掛売お断りします。」

小料理屋のカウンター前の壁に短冊状の紙や板きれに書いてあったのを見たことがある。
しかし当時は、その意味が分からなかった(いつの頃見たのかも不明)。

その後だいぶ経って、売掛金という勘定科目が将来お金を受け取る権利をあらわすということを知り、『なーるほど』と膝を打った。
その日の料理の食材は現金で仕入を行っており、その日に消費した分(客に提供した分)はその日のうちに現金で回収しないと明日の仕入が困る。
お店の内実を明かしてお願いしているように見えるが、理由はどうあれ、「ツケはダメね(認めないよ)」ということだ。

ツケはいうまでもなく付けである。

つけ【付け・附け】〔名〕
(1)つけること。
(2)書きつけ。勘定書。また、借買いすること。「―がたまる」[広辞苑第6版]

「借買い」などという言葉を初めて聞いたが、お客の側から見れば「後払いで今日呑まして」。
「行き付けのお店だから」「お得意さんだから」という暗黙の了解(人間関係?)があるからこそ、ツケが成立するのだろう。

で、今日の話はツケがメインではない。
最近、新聞などで民法改正の動向が紹介されている。
最近では、こんな記事がある。

ツケの時効(消滅時効)は1年というのも、昔々聞いたことがあり、当時『踏み倒すには1年間逃げ回ればいいのか』などと不埒なことを考えたりもした。
今回の民法改正では、職業別に定められていた時効を5年に統一することが検討されているようだ。
個人的には1年がいいのか5年がいいのか、あるいは全職業統一がいいのか、まったく見当が付かないので判断は差し控えるが、 5年というのはいかにも長いように感じる。
借り手から見れば、5年間は債務が残り続けることになるし、貸し手側から見ても悠長に待ってられないのではないだろうか(本質は違うところにありそうだが)。

そういえば、現代のツケはクレジット払いといえる。であれば、ツケそれ自体は一般化しているといえるのかもしれない。ちなみにクレジット契約の時効は原則5年であるらしい。






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