2013年7月29日月曜日

Scrap and Build

何気なく文科省の大学の学部等の設置届出を眺めている。
今年(2014年4月開設分)は4月分と5月分が公表されているが、大学の学部の新設届出は4月11大学、5月3大学。
文科省の届出状況の公表は12月まで毎月続くので今後も増える。
新設の届出は、ちょっと前に話題になった大学の新設とは違って、学位の種類が変わらなければ、そのまま認められる。

今年の届出分は数が多くないので何とも評価のしようがないが、昨年分(2013年4月開設分)を毎月つらつら眺めていると、一見して明らかなことがある。

複数の学部を廃止し、新設学部数は現行の学部数より減らし、それに伴って入学定員も削減する。
つまり2学部を廃止し、1学部とし、2学部で200名だった入学定員を150名にする、というわけだ。

学部を増設するのではなく、既存学部を廃止することで新しい学部を作る。
いうまでもなく、スクラップ・アンド・ビルド。

スクラップ‐アンド‐ビルド【scrap and build】
(1)古くなった設備を廃棄し、新しい設備を設けること。
(2)組織の新設に際して同等の既存組織を改廃し、全体の規模の膨張を抑制すること。「―方式」[広辞苑第6版]

それに伴って、学部に設置する学科も影響を受ける。
2学部4学科だったものは、1学部4学科のままというところもあるが、1学部3学科に減らすところもある。大胆に4学部8学科を1学部にして、学科を8つ配置したり、5つに減らしたりするケースもある。
大袈裟にいえば、大学に学部をひとつだけ設置して、その中に多様な学科を配置するようなスクラップ・アンド・ビルドである。

これはいったい何を物語るのか。
受験生は、もはや、細分化された学科は選べない、大きなくくりで学部だけを決める、しかもどの大学で学ぶのかだけが重要、ということのように思われる。

もちろん、受験生が学科までちゃんと選定して受験してくれるとは限らないので、学部が大事、あるいは大学名が大事ということは分かる。かつては(小生が受験生だった頃は)そういう傾向が強かった。どの大学で学ぶのかが重要で、学部はどこでもいいという受験生は多かったように思う(小生の友達がそうだっただけか)。
そうしたことを思うと、その後の大学のあり方(多様な学部学科構成)は、やり過ぎ感すらあるので、元に戻りつつあるということもできる。

であれば、 何も動かない大学はそれでいいのかという問題が出てくる。
妙案は思い浮かばないが(いや、ちょっと腹案はあるのだが)、決してこのままでいいということにはならないだろう。

ほら、ダーウィンもいってるでしょ、「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるでもない。唯一生き残るのは、変化できる者である。」と。


0 件のコメント:

コメントを投稿