2013年6月9日日曜日

芝居を観る会

昨夜はサンピアザ劇場で芝居を観る会。

イレブン☆ナイン『短いのん。』(作・演出:納谷真大)

フライヤーでは、2011年から2013年に『劇王』に出品した作品と、2011年教文短編演劇祭優勝作品、そして番外上演の1本を一挙公開とあるので、てっきり5本の短編を、区切り区切り上演するものと思っていた。

『オッツカッツ』
『失うモノを手に入れる』
『ひようりいつたい』
『アーユーレイディ?』
『俺はジャッジャー』

たしかに5本の作品だったが、これを一気に、一繋ぎに上演する形式だった。しいていえば、『オッツカッツ』で幕を開け、その途中で挿話的に以下の4本が演じられ、そして最後に『オッツカッツ』に戻る。台詞的にいえば、ストーリー展開は「ベタ」だ。

『オッツカッツ』
「劇王」に出品するために頭を悩ませる作家。そこに絡む女性劇団員2名。一人の劇団員から作家をみればオッツ、もう一方の劇団員からみればカッツ。また、一人の劇団員はシュールなストーリーが好きだという。それに対してもう一方はベタが好き。つまり2つの側面から一人の作家をみている。しかも三角関係。
劇作家がいかに呻吟しながら脚本を作っていくのかという、いわば舞台裏を舞台にしてしまった作品。舞台裏の苦悩は〇さんを見ていてよく分かる。(苦笑)

『失うモノを手に入れる』
「締切時間までに書けない」となったとき、シュールなお芝居が好きな劇団員が提案したのがこれ。

舞台は戦場。
敵に攻められて残された兵士は3名。
敵の攻撃の最中、最期を迎える間際に、過去の思い出にふける。
速射砲のごとくくり出される台詞。ものすごい文字量。いかにもシュールだ。

『ひようりいつたい』
それに続いて演じられたのがベタが好きといった劇団員が考えたストーリー。
舞台に設置された大きなオセロ。そこに、オセロを打ち続ける男。それに挑戦する女。勝つのはいつも男。
おどおど、ギクシャクしながらも数年にわたって打ち続け、徐々に二人の距離は縮まり、やがて懐妊。それでもひたすらにオセロを打ち続ける二人。やがて臨月となり、悲しい結末を迎える。舞台はシュールながらオチはベタ。

『アーユーレイディ?』
番外上演と名付けられた作品で、女性劇団員だけで演じられた。一応、作家が過去に考えた作品ということになっていた。
九州に引っ越す(中学か高校のときの)同級生に告白しようとしても告白できない女性。それを応援するために出現した、今はなき母、祖母、曾祖母、高祖母。そして同級生と付き合っている女性。
告白できない女性に告白させるためにあれこれ指南するが、結末は告白する前で終わる。なぜなら、作家はそこまでしか考えてなかったからというのがオチ。

『俺はジャッジャー』
作家は実は売れない俳優でもあるという設定。
原稿の締切が迫っている中、テレビドラマ(仮面ライダー)のショッカー役の仕事に向かう作家。
いっぱしの役者論を持つ俳優だが、後輩俳優やAD、見習い俳優たちとの葛藤。いよいよ本番を迎えるというときになって、ジャッジャー役の子役が役を降りるという。そこで代役として作家がジャッジャーを演じることになるが、結末は大失敗に。唯一映像を使った作品で、これもまたひとつの舞台裏を描いた作品。

という内容で、盛りだくさん、てんこ盛り。
ナント、上演時間は2時間超。

イレブン☆ナインは、2007年に芝居を観る会が発足し、その年に観た『あっちこっち佐藤さん』の印象があまりに強烈で、今回もそれを期待していた。そしてお芝居は、たしかにあのときのイレブン☆ナインを裏切らなかったが(とにかく台詞回しが抜群)、何しろ長すぎた。
長すぎて印象に残らない。(笑)
『アーユーレイディ?』、あるいは『アーユーレイディ?』『俺はジャッジャー』がなくてもお芝居としては完成していたのではないだろうか。

一本一本の内容は面白かったし、納谷さんをはじめ、役者さん全員が実にうまかったし、ストーリーとストーリーの繋ぎ方も良かっただけに、冗長さが残念だった。

会場はほぼ満員でイレブン☆ナインの人気の高さを裏付けていた。
公演は今日まで(14:00/18:30)。

観劇後、S先生(今回はもう一人のS先生はお休み)といつもの焼肉屋で劇評会となったが、焼肉を食べる前に満腹感に襲われたほどだった(でも〆のラーメンは食べたけど…)。

上演時間:2時間8分

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