iPod touchのおかげで、電子書籍を読む機会が増えた。
いつもショルダーバッグに文庫(新書)を入れて移動しているが、当然のことながらショルダーバッグを持たないで外出することもある。
そんなときは、以前であればボーッとしているしかなかったが、最近では、ちょっとした時間を利用してiPod touchの電子書籍アプリを開く。
AmazonのKindle版で、著作権切れの著作が無料でダウンロードできる。青空文庫なども同じ。
しかし、ここに来て、新刊本(自費出版?)も無料でダウンロードできるものも出てきた。
犬子蓮木『白く汚れて冷たく綺麗な』[Kindle版](2012年11月、もふもふ出版)
この本の著者はもちろんペンネームで、犬の子、(シベリアン)ハスキーのもじりであるという。
ダウンロードしてページ数を見ると、3,823!
気が多くなるような数。ただこれは、実際にはロケーション番号といわれるもので単純なページ数ではない。
そうと知りつつも『いったいいつ読み終わるのやら』と読み始めた。あくまでちょっとした時間を利用して読んだこともあり、かなりの時間がかかったように思ったが、3月17日にダウンロードしていたので、そんなに時間がかかったわけではない。
さて本書は、いわゆるミステリーであり、トリックものである。
美人名探偵の伊澄泉水(いすみいずみ)とそのおっかけ高校生である浦木周(うらきあまね)。
伊澄はどんな難事件も「白い本」を見ながらあっさりと解決してしまう探偵。そして助手のように伊澄に寄り添う浦木。
物語はまずこの二人による第1の殺人事件の発生から解決にいたる謎解きから始まる(一部 はじまりとして切り取られたもの)。
そしてその事件が解決すると、第2の殺人事件が始まる(二部 はじまりのつづきとして用意されたもの)。全体の分量としては、この第2の事件が圧倒的に多く、登場人物も増える。殺害される被害者も第1の事件は1名だが、第2の事件は4名(か5名)になる(ハッキリしているのは4名。苦笑)。
ネタバレになるので多くは明かせないが、途中で「えっ!この人まで殺害されるの?」ということもあり、しかもその犯人が「どうしてこの人?」という、いわば「禁じ手」でラストを迎える(ネタバレか)。
というわけで、内容についてはここまで。
ここから先は周辺事情を少し。
まずは構成。
物書き稼業(といっても物を書いて収入を得られるほどのものではないが)から見て、どう見てもバランスが悪いように感じられる。
もくじを示すと次のようになる。
一部 はじまりとして切り取られたもの
二部 はじまりのつづきとして用意されたもの
プロローグ
一章 はじまりが揺れていた
二章 そしてあなたは殺される
三章 次もあなたが殺される
四章 最後は彼女がターゲット
エピローグ
あえてこのような構成を取っていると思いたいが、ゼミ生の論文なら即書き直しを命じる。
次は電子書籍である点。
これは意外と読みやすい。何しろ、難しい漢字や言葉が出てくるたび、その文字を選択すると国語辞書を使えるのが助かる。紙の本だとこうも簡単にはできないので(とくに読み方がわからない場合)、これは電子書籍のメリットのひとつだろう。
しかも、どこまで読んだかも端末が覚えてくれるので、いつも続きを読めるのも便利だ。
またメモやブックマークを付けることもでき、それが一覧表示される点も便利だ。この機能を利用して誤字やイミフな部分をメモしてみた(悪趣味?)。
「充当に行けば将来かなり上の人間となるだろう。」(No.251)
→「順当に行けば」でしょう。
「職を失い、よしんば罪を犯した。」(No.507)
→「よしんば」は「たとえ~であっても」という意味。こんな使い方するのだろうか。
「文章意外にもまだ何かあるかもしれない。」(No.1492)
→「文章以外にも」でしょう。
「以外と平気なものなんですね」(No.1884)
→こちらは「意外」でしょうね、やっぱり。
「みんあ、間違ってるって。だって、~」(No.2021)
→「みんな」です。
「ちょっとね……冷静でいられる自身がないの」(No.2336)
→「自信」の方では?
「殺害する動機を持ったもの見あたらない。」(No.2710)
→ま、悪くはないが「持ったものが見あたらない」の方がいい。
「街の警察官を遅い銃も奪いました。」(No.3776)
→「警察官を襲い銃も奪いました。」かと。
最後はページ数。
読み終えてAmazonのページを見てプチ驚く。
この本、Kindle版が300円で販売されているではないか。しかも誤字脱字修正版で4版らしい。
紙の本の長さ:215 ページ(推定)で、39文字×18文字換算で340ページ相当との表現も見える。ロケーション番号は3,823。これ、引用したい場合どうするのだろう?
うーん、やっぱり謎だ。
いずれにしても、小生は無料版のときに入手したわけで少し得した気分。
カスタマーレビューは星5つが2件。読む人が読めば、いい本なのだろう、きっと。
でも小生にはトリックもストーリー展開も理解できなかったのが悔やまれる。(苦笑)
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