テレビのニュースで、到達度テストを導入する方向であることが報道されていた。
大雑把にいえば、高校在学中に2回の到達度テストを実施し、さらに大学入試の際に大学独自の面接などを行って意欲などを測定して合否を判定するらしい。
高校時代に統一的な試験を受験することで、客観的な学力の到達度を測定できることは悪いことではない。すでに多くの高校(ニュースでは6割)が到達度テストを実施しているので、導入に障害は少ないという。
しかし、これを導入すると、希望する大学に入学するために到達度テスト対策が目的化する恐れがある(ニュースでもコメントしていた)。つまり、塾などでも学校の勉強よりは到達度テストのための対策を行うことになる。これはこれで高校教育の矛盾を生むような気がする。
しかも、現在、高校が任意で導入している到達度テストは、親がその高校の成績と到達度テストの乖離を知ることで、その高校の評価(個人の評定平均)と全国の高校生とのレベルの差を知ることができるが、全国統一で到達度テストを実施すれば、高校入試の段階でおのずと到達度テストで高い実績を持つ高校を選択することになる。
さらに、推薦やAOでの利用ができるとも報道していたが、推薦基準が到達度テストベースとなり、高校ごとに設定している推薦基準は役に立たないことになる。そうなると、高校の評定平均がまったく無意味となる。
一部の進学校(高校)や競争倍率が高い大学では到達度テストは役立つとは思う。しかし多くの高校や大学では、到達度テストでの「輪切り」に合い、とくに大学では、客観的に見て一定水準に達していない生徒を受け入れざるを得ないという事態が生じる可能性がある。
このように考えると、受け入れ側にとってメリットはあまり大きくないように感じる。
そうならないようにするためには、到達度テストで一定水準に達していない生徒たちを高校側でさらに教育し、大学に送り出すという対策と努力が必要であろう。
でもそのような対策を取ると、やっぱり到達度テストが目的化してしまう。
個人的には、高校生レベルの基礎学力の習得という意味で、到達度テストには一定の評価をしているが、それでも全国統一で実施するということになると、判断に困るというのが、本音である。
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